芸能人の元カレ「K」〜別れの後始末〜
前回のKは
携帯が鳴っている。
でも私はまださっき目にした事実を消化しきれていなくて、
彼になんて言おうかとか、そこまでの思考に至っていなかった。
なので、電話が切れるまで携帯の画面を眺めていた。
電話が切れるとすぐにメールが来る。
「どうしたの?なにかあった?今どこにいるの?」
と
流石に事件とか事故とかと勘違いしたら面倒なのでメールを打つ。
「ごめんなさい。デジカメを見てしまいました。過去のことだとしてももう無理です。さようなら。」
さようなら。
この言葉は本当に重い。
その重みを感じながら電車に乗る。
また携帯がなる。
でも出ずにバッグにしまう。
ドアが閉まるまでは自分の心の中で二人の人が会話しているような気分だった。
「Kのあの気持ちはほんものだよ。友達だって見事に嘘をつけるような人たちじゃなかったし。とりあえず戻ってちゃんと目を見て話し合ったほうがいい。」
「いやいや、芸能人なんてモテるんだから何やっても女は寄って来るんだよ。そのうちにKも常識がなくなっちゃったんだ。こんな男は早々に見切りをつけたほうがいい。」
私の心は揺れていました。
でも、私はものすごく男女に関しては潔癖な考えを持っているので、
もうKが不潔なものとしか思えなかったのです。
そしてデジカメに写っていた女性のことも頭にこびりついて離れません。
目隠しをされて両手を結ばれて、バックで後ろから撮影されたのが二枚、
そのまま横から撮影されたのが二枚。
あんなもの見たくなかったなぁ・・・。
でも見なければKがあんなことをする人間だと気づけなかったわけだし・・・。
はぁ。芸能人こわ。。。
そんなことを考えていると、またメールが届く。
「ごめん。辛い思いをさせて。でも一度ちゃんと話をさせて欲しい。このまま終わりにはしないで。お願い。」
返信はしませんでした。
電車を乗り換え、家に着くまでもメールや着信の嵐でしたがとりあえず無視。
私は時間をおいて一旦冷静にならないとまともに考えられないので、家に帰ってお風呂に入ってからじっくり考えようと思いました。
あれだけ強気に考えても、やはり信じようと決めた人からの裏切りは相当こたえたようで・・・お風呂の中では声を殺して泣きました。
でも私の中ではこの時にもう答えは決まっていました。
その答えは『別れる』ということ。
好きになり始めていたし、Kと一緒にいるといつも世界がキラキラしていた。
でも、それ以上にもう心が殺されてしまった。そんな気持ちだった。
深入りしなくてよかった。
本気になる前でよかったんだ。そう自分に言い聞かせる。
そしてお風呂から出て、Kからのメールに返信しようと体を拭きながら携帯を開く。
すると、前にも見た大量メール・・・。
これは、面倒なことになりそう・・・。
そう思い、古いものから開きました。